恐怖度がさらにUP「新耳袋第二夜」怪談の舞台は全国に

2016年8月11日2017年7月16日

怪談の舞台は日本全国に

「第一夜」では関西の怪談が半分以上を占めていました。
「第二夜」の出版は前回の「第一夜」から８年後。
その間に著者お二人が新たに全国から怪談を収集したのでしょう。
まだ関西の話が多めですが舞台は日本全国に広がっています。

「第二夜」の特色は「神仏にまつわる九つの話」と「小さきものたちの六つの話」です。

「神仏にまつわる九つの話」はそのタイトル通り仏様や神様に関するありがたい話です。
日本人は無宗教だと言われたりしますが、仏様や神様の信仰はしっかり持っていますよね。
昔話や民話のようなありがたいお話が多いです。

「小さきものたちの六つの話」はズバリ小人について。
天使のようなかわいい小人から気持ち悪くて怖い小人まで紹介されています。
松嶋初音の「初音怪談」でも小人のおじさんの話が出てきます。
私は見たことはありませんがどうやら小人族はひっそりと存在しているようです。

第一章　神仏にまつわる九つの話
第二章　さまよえるものたちの十三の話
第三章　訪ねてくるものたちの十一の話
第四章　気に入った場所に関する七つの話
第五章　残されしものたちの七つの話
第六章　不思議を覗いた十の話
第七章　路上を漂うものたちの八つの話
第八章　緑のものたちの五つの話
第九章　狐狸妖怪に出会った九つの話
第十章　そこに帰りたくない十一の話
第十一章　小さきものたちの六つの話
第十二章　百物語にまつわる三つの話

「新耳袋第一夜」の感想

「第一夜」に引き続き全体の感想をグラフにしました。

※このグラフは個人の感想であり、すべての読者に当てはまるものではございません（笑）。
不思議系が多かった「第一夜」と打って変わって「第二夜」では圧倒的に怖い話が増えています。
「第一夜」を読んでそんなに怖くないとガッカリした人、大丈夫！
「第二夜」は確実に恐怖度が上がっています。
恐怖度もあちらから積極的に来る感じのアグレッシブな怖さです。

「新耳袋第二夜」ハイライト

「第二夜」で印象深い話を紹介します。

面白い話

第九十話　霊を退散させた男
古くて超安価な幽霊物件を買ってしまったホラー系映画の専門雑誌編集長。
怪奇現象がよく起こる不気味な家だが編集長は全く気にしない。
金縛りにあい、おかっぱの少女の頭を目撃したりするがそれも楽しんでしまう。
そのうちに霊達が根負けしたのか家の雰囲気も明るくなり怪奇現象も起きなくなった。

新耳袋では珍しい、霊に打ち克った人の話。
怪奇現象に悩んでいる人もこの編集長を参考にするいいかもね！？

最恐話ベスト３

第二十一話　白い手　その二
一人がバイクに乗り残り数人は車に乗ってある場所にドライブに行った。
走っていると突然バイクだけが減速しだす。
バイクのテイルを肘から先だけの真っ白な２本の手が握っている。
白い手にぐーっと力が入るとバイクが減速する。
それを見た友人達はあまりの恐ろしさにバイクの彼を残して先に逃げた。
警察と一緒にその場所に戻ってみるとその彼は…。

怪談好きはちょっと似たパターンの話を聞いたことがあるかもしれません。

第二十八話　ハイカー　その一
登山のインストラクターが体験した話。
ある夜宿舎の自分の部屋の洗面所で歯磨きをしながらふと鏡を見た。
鏡の中に背中を向けたハイカー達がズラリと後ろに並んでいる。
驚いて振り返ったが誰もいない。
鏡のこちら側は明るいのに鏡の中のハイカー達の背後は真っ暗。
不思議なことにその宿舎のある山では多くの人が亡くなった事実もなく、鏡の中ハイカー達も遭難したような装備でもなかった。

起こった怪奇現象に因果関係がない話です。
因果関係がないことが余計に不気味な話。

第五十話　エレベーター
深夜に自宅マンションに帰って来た女性。
１基しかないエレベーターを呼び出すとまだ１階に来ていないのに目の前のドアが開く。
深夜にも関わらずエレベーターいっぱいに見たこともない人達が載っている。
「下に行きます。乗りますか？」と聞かれる。
そのマンションには地下はない。

新耳袋シリーズの紹介でも紹介した新耳袋的な話。
私はこの話を読んでエレベーター恐怖症になりました。